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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

そして鮎子のような浅草の外部の人間が浅草へやってきて、ちょうど悪戯好きな人間が池に石を投げて、その人間はその結果を知らないだろうが、その石に当った池の蛙はそれで死なねばならぬ、そんなような悪戯をすることに、美佐子は玲子の側から深い憤りを抱いていて、私をもそうした悪戯をする人間のひとりと見て、お前は浅草へなにしに来たのかと詰問したにちがいない、そう私はその時の美佐子の心を推し測った。美佐子が憤慨していたというのは、おそらくそうしたことだろうと私は考えながら、

「僕のことを好きだと言ってたって?」

私は自分を決して悪戯などはしない人間とみずから言い切れないので、美佐子の憤慨というのにうろたえたから、そのうろたえを隠すように、そうふざけた調子で言ったものだ。(美佐子は実は、私の考えたように、漠然と憤慨していたのではなかったのであった。前回にも書いた通り、お好み焼のことから美佐子は私が小柳雅子に夢中なことを知った。特に小柳雅子ということから、美佐子は憤慨したのであるが、それは後にわかったことで、――ではなぜ美佐子は特に小柳雅子ということから憤慨したのか。それはまだ語る時期ではないようだ。