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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

そんなことを心の片方でぼんやり考えながら、片方で私は、自分で気づかなかったが「おまさ」へ行った時の美佐子は私にからんでいたのであったかと、その時の記憶をたぐり寄せていた。

「ミーちゃんは、前におたくのことを好きだと言ってたんだけど、どうした加減か、この間は風向きが変って、えらく憤慨してましたっけ。死んだ妹のことなんかも持ち出して……」

私は美佐子が、瓢箪池のところで私に、浅草へなにしに来たのかという意味のことを詰問的に言ったことを思い出した。そしてその時美佐子は、そうした詰問的な言葉のあとで、私とは不思議な因縁があるのだと言って、美佐子の妹の死んだ市川玲子と私の以前の妻の鮎子との奇妙な関係を語って、その時美佐子はそれ以上は言わなかったけれど、その関係というのは、浅草へひょっこり現われた鮎子がおそらくはちょっとした浮気心で、市川玲子から大屋五郎を奪って行き、そのため玲子の生命をも奪って行ったというような大変な関係であったことを、私はあとでドサ貫から知らされた。そうしたことを美佐子が自分から語らなかったのは、鮎子への怨みがいかに深いかを示しているように私には感じられる。