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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
と、姉のような調子で、きめつけた。
「――だって」
「嫌いだわ。男の癖に」
「――すみません」
今度はおどけて言ったが、おどけていてもその声は細い金属の線を思わせる、繊弱な、かすかに震えを帯びた感じの声だった。
座のなかから「――とっても、いけねえや」という頓狂な、やや卑猥な調子をこめた声が挙った。ミーちゃんとその若者との間に何かあるのだろうか、どうやらその何かを弥次っているらしいことが事情を知らない私にも、その声から察せられた。だがミーちゃんは、ちっとも動じないケロリとした顔で、ここの細君が小皿をチャラチャラいわせて、注文のお好み焼の材料を忙しそうに盛り分けている台所へ去って行った。若者は照れ隠しのように、
「もう焼けてるね」
と、側の女優風の女が焼いている支那蕎麦を指さした。
「妬けるですよ」と、すかさず誰かが言った。
――ここでミーちゃんのことを、ちょっと。私は初めてこのお好み焼屋へ来て、ミーちゃんに会った時、彼女がお客のようでありながら、この場合のように何くれとなく小まめに手伝っているのを見て、この娘はなんだろうと思った。ここへ私を案内してくれたレヴィウ作者に、そこでそっと聞いてみると、彼女は嶺美佐子といって、以前T座のダンシング・チームにいて、その後O館に移った踊り子で、今は公園の舞台に出ていないという。