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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

私は太陽に飢えた植物を自分のうちに感じながら、シバシバと眼を瞬いて、ふと昨年の暮に吉原へ散歩の足をのばした時に眼にした情景を思い出した。眼にしみた情景である。それは昼前の、巷全体がほッと一息ついているような静かな時刻、江戸町か角町かの通りであったが、その通りがこの広小路と同じように、片側にだけ陽を受けていた。夜は人々のぞめきでみたされるその通りも、その時はしんと静まりかえっていた。夜の印象と対比されるせいか、異様に冴えた静けさで、その静けさのせいか、道の片側を照らしている陽の光も、清らかな、実にうららかな、そして恵み豊かな感じであった。

「朝野君、知ってるでしょう。お女郎さん相手の、郭のなかだけ回っている雑貨屋。はたきとか、お茶碗とか、部屋に飾る人形とか、そんなものを車にいっぱい陳列して廓に売りにくる。……それがちょうど、通りにとまっていた。うららかな暖かい陽を浴びて……」

私は朝野に語っていた。酔いが、頭に浮んだことをすぐ口に出させたのだ。そしてまた酔いのため幾分感傷的な語調である。

「見ると、お女郎さんがその車を囲んで何か買っているんですね。何を買うのかしらと、僕は近づいてみた。