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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

近づいて見ると、――まだ化粧をしてないので、夜見ると綺麗なお女郎さんたちも黄色くむくんだ顔をしている。あの顔の色は、実にいやな色ですね。日に当らないせいか、それとも、……。いや。そんなことはどうでもいい。お女郎さんたちは車を囲みながら、日向ぼっこをしているんですよ。高いわね、まけないなどと雑貨屋のおじさんに言ったりして、なかなか買わない。察するところ、雑貨屋が来たというので、それを口実にして陽に当るために外に出たようで……。でも、そのうち一人が安い楊枝入れを買った。それを囲んで、日向ぼっこをしているのが他に数人いるわけで、そのうちの一人が店の方を振りむいて、何か言った。何か買わねえずらといった田舎弁。で、僕は何気なく店の方に眼をやると、――店の上り口の、ちょうどそこまで陽がさしこんでいるギリギリのところの板の間に、お女郎さんたちが鏡台を持ち出して髪を結っている。髪を結いながらでも、陽に当ろうというわけなんですね。陽ッてそんなものかと、陽のありがたさを初めて知らされた感じだった。そして眼を外にむけると、店の前に盆栽が並べてあるじゃないですか。一日中、陽の当らない家ン中に押し込められている盆栽。