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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

「朝日新聞 夕刊」1962(昭和37)年4月1日~10月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 201,379 字 · 394 页

青空文庫

良さんの家族も例外ではなく、子供たちの着ている物はみな誰かのお古で、シャツもズボンも、ブラウスもスカートも、なにもかも継ぎはぎだらけであり、絶えず洗濯したり解いて縫い直したり、継ぎを当てたりほころびをつくろったりしなければならない。――むろんみさおも黙って見ているだけではないが、八割がたまでは良さんがやらなければならなかった。職業の関係で、こまかな手仕事には慣れているためだろう、根気仕事ならお手のものとも云えるが、一日じゅう家にいて子供たちを見ているから、よごれた物を着ていたり、ほころびが切れているのを見たりすれば、つい手が出てしまうようであった。

ちかごろでは子供たち自身が、自分たちでできることはするようになった。花子はまだ二年生であるが、つくろい物をなんとかやってのけるし、太郎と次郎は洗濯を担当した。そのうえかれらは、少しでも暇があれば、ブラッシ作りの手助けまでしようとした。

「みっともねえ子だよ、おめえたちは」とみさおはよく云った、「男の子のくせに洗濯なんかしてさ、そんなこせこせした根性じゃろくな者にはなれやしねえよ」

子供たちは黙っている。