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がくもんのすすめ
学問のすすめ
福沢 諭吉
「学問のすすめ」1872(明治5)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页
と言いて、これを難ずる者あり。もとより人の説を聞いてにわかにこれを信じわが望みを失するにはあらざれども、畢竟この諸説はわが独立の保つべきと否とについての疑問なり。事に疑いあらざれば問いのよって起こるべき理なし。今試みに英国に行き、「ブリテンの独立保つべきや否や」と言いてこれを問わば、人みな笑いて答うる者なかるべし。その答うる者なきはなんぞや、これを疑わざればなり。しからばすなわちわが国文明の有様、今日をもって昨日に比すればあるいは進歩せしに似たることあるも、その結局に至りてはいまだ一点の疑いあるを免れず。いやしくもこの国に生まれて日本人の名ある者は、これに寒心せざるを得んや。今わが輩もこの国に生まれて日本人の名あり、すでにその名あればまたおのおのその分を明らかにして尽くすところなかるべからず。もとより政の字の義に限りたることをなすは政府の任なれども、人間の事務には政府の関わるべからざるものもまた多し。ゆえに一国の全体を整理するには、人民と政府と両立してはじめてその成功を得べきものなれば、わが輩は国民たるの分限を尽くし、政府は政府たるの分限を尽くし、互いに相助けもって全国の独立を維持せざるべからず。