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がくもんのすすめ
学問のすすめ
福沢 諭吉
「学問のすすめ」1872(明治5)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页
浅野家の家来どもこの裁判を不正なりと思わば、何がゆえにこれを政府へ訴えざるや。四十七士の面々申し合わせて、おのおのその筋により法に従いて政府に訴え出でなば、もとより暴政府のことゆえ、最初はその訴訟を取り上げず、あるいはその人を捕えてこれを殺すこともあるべしといえども、たとい一人は殺さるるもこれを恐れず、また代わりて訴え出で、したがって殺されしたがって訴え、四十七人の家来、理を訴えて命を失い尽くすに至らば、いかなる悪政府にてもついには必ずその理に伏し、上野介へも刑を加えて裁判を正しゅうすることあるべし。
かくありてこそはじめて真の義士とも称すべきはずなるに、かつてこの理を知らず、身は国民の地位にいながら国法の重きを顧みずしてみだりに上野介を殺したるは、国民の職分を誤り、政府の権を犯して、私に人の罪を裁決したるものと言うべし。幸いにしてその時、徳川の政府にてこの乱暴人を刑に処したればこそ無事に治まりたれども、もしもこれを免すことあらば、吉良家の一族また敵討ちとて赤穂の家来を殺すことは必定なり。しかるときはこの家来の一族、また敵討ちとて吉良の一族を攻むるならん。