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がくもんのすすめ

学問のすすめ

福沢 諭吉

「学問のすすめ」1872(明治5)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页

青空文庫

第二 人の性は群居を好み、けっして独歩孤立するを得ず。夫婦親子にてはいまだこの性情を満足せしむるに足らず、必ずしも広く他人に交わり、その交わりいよいよ広ければ一身の幸福いよいよ大なるを覚ゆるものにて、すなわちこれ人間交際の起こる所以なり。すでに世間に居てその交際中の一人となれば、またしたがってその義務なかるべからず。およそ世に学問と言い、工業と言い、政治と言い、法律と言うも、みな人間交際のためにするものにて、人間の交際あらざればいずれも不用のものたるべし。

政府なんの所以をもって法律を設くるや、悪人を防ぎ善人を保護し、もって人間の交際を全からしめんがためなり。学者なんの所以をもって書を著述し、人を教育するや。後進の智見を導きて、もって人間の交際を保たんがためなり。往古或る支那人の言に、「天下を治むること肉を分かつがごとく公平ならん」と言い、「また庭前の草を除くよりも天下を掃除せん」と言いしも、みな人間交際のために益をなさんとするの志を述べたるものにて、およそ何人にてもいささか身に所得あればこれによりて世の益をなさんと欲するは人情の常なり。あるいは自分には世のためにするの意なきも、知らず識らずして後世、子孫みずからその功徳を蒙ることあり。