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あんごしんにほんふどき
安吾新日本風土記
03 第二回 富山の薬と越後の毒消し≪富山県・新潟県の巻≫
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,916 字 · 46 页
弥彦角田は越後の聖山であるから、小学生、中学生の修学旅行で一度は登山に行ったものだ。弥彦の方は山上にホコラがあって山頂が聖地になっているから立派な登山道があったが、角田山には道がなかった。山頂まで木の根にすがってよじ登らなければならなかった。一口に弥彦角田とよばれ親しまれている土地の聖山にして角田には登山道がなかったのだ。その山裏の角海の部落に道がないのも怪しむに足らないかもしれない。
称名寺というのは慶長初年に能登から辿りついた坊さんの開いた寺だ。もちろん角海にはすでに部落があった。それが昔は海賊部落かもしれないというわけだ。そこは砂丘の角田浜とちがって、山裏の古い古い土地であり、しかもその山は大彦の命を祀った古い社のある山だ。そしてその山際の寺泊のあたりが佐渡と結ぶ昔の舟路であったし、直江津から北へのぼるにも概ね海路を辿っていた往昔、ちょうどこの角海のあたりに海賊部落があったと考えるのはむしろ非常に適切だ。地理的に、地形的に、まさにその唯一のところという感さえする。この超越した主人の言葉は、非常に現実的でもあったのである。
毒消し部落も美人系という伝説がある。