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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

吉川英治『宮本武蔵(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:宮本武蔵、宮本武蔵、宮本武蔵。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 231,525 字 · 463 页

青空文庫

と、笑いがとまらずにいた。

但馬の国生れの宗彭沢庵と名のるこの若い禅坊主には、ふさぎ性のお通も、この青年僧の泊っているあいだは、毎日笑わずにいられないことが多かった。

「そうそうわたしは、こんなことをしてはいられない」

草履へ、白い足をのばすと、

「お通さん、どこへ行くのかね」

「あしたは、四月八日でしょう、和尚さんから、いいつけられていたのを、すっかり忘れていた。毎年するように、花御堂の花を摘んできて、灌仏会のお支度をしなければならないし、晩には、甘茶も煮ておかなければいけないでしょう」

「――花を摘みにゆくのか。どこへ行けば、花がある」

「下の庄の河原」

「いっしょに行こうか」

「たくさん」

「花御堂にかざる花を、一人で摘むのはたいへんだ、わしも手伝おうよ」

「そんな、裸のままで、見ッともない」

「人間は元来、裸のものさ、かまわん」

「いやですよ、尾いて来ては!」

お通は逃げるように、寺の裏へ駈けて行った。やがて負い籠を背にかけ、鎌を持って、こっそり裏門からぬけてゆくと、沢庵は、どこから捜してきたのか、ふとんでも包むような大きな風呂敷を体に巻いて、後から歩いてきた。