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こさかいふぼくしゅうはしがき

少年科学探偵

小酒井 不木

小酒井不木『少年科学探偵』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「小酒井不木集」はしがき、深夜の電話、紅色ダイヤ、暗夜の格闘、髭の謎、墓地の殺人、塵埃は語る、白痴の知恵、玉振時計の秘密、頭蓋骨の秘密、自殺か他殺か、『少年科学探偵』序、紫外線、現場の写真、科学的研究と探偵小説。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 152,885 字 · 308 页

青空文庫

彼はしばらく、木陰に身をしのばせて、支配人宅の様子をうかがいました。

しばらくすると、佐久間氏宅の裏門から、雇い人の老婆が出てきました。老婆は毎夜八時頃にお湯に行き、それから買い物などをして十時頃に帰るのが例であって、彼は言うまでもなく、この時間を凶行のために選んだのであります。

龍太郎は老婆の姿が見えなくなるまで見送って、薄気味の悪い笑いをもらしました。そうして、それからつかつかと表門を入って、玄関のベルを押しました。

戸を開けにきたのは、言うまでもなく佐久間氏自身でありました。佐久間氏はモーニング・コートを着ておりましたから、龍太郎は、佐久間氏が会社から帰って、まだ着物を着替えないでいることを知りました。佐久間氏は、自分が殺されるとは夢にも思っていませんから、快く彼を迎え入れ、応接間に導きました。

応接室へ入るなり、支配人は彼に与える椅子を取ろうと思って、ちょうど玉振時計の方を向きました。その時、彼はやにわにピストルを取りだして引き金をひいたのであります。

それはまったく一瞬間の出来事でありました。轟然たる爆音と、濛々たる白煙が、サッと部屋の空気に流れたとき、佐久間氏は無残にも脳天を打ち貫かれて、死体となって、彼の前に横たわりました。