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こさかいふぼくしゅうはしがき

少年科学探偵

小酒井 不木

小酒井不木『少年科学探偵』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「小酒井不木集」はしがき、深夜の電話、紅色ダイヤ、暗夜の格闘、髭の謎、墓地の殺人、塵埃は語る、白痴の知恵、玉振時計の秘密、頭蓋骨の秘密、自殺か他殺か、『少年科学探偵』序、紫外線、現場の写真、科学的研究と探偵小説。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 152,885 字 · 308 页

青空文庫

すると幸いにもその針の上はねじでとめてありましたので、彼はそのねじをはずし、それから長針と短針とを抜いて、ちょうど時計が九時半を示すように置きかえ、さらにねじをもとどおりにはめました。普通の玉振時計では、こういうことはでき難いのですが、運よくねじどめにしてあったので、彼は救われたのであります。

「これでいい、これでいい」

彼はほッと太息をもらして呟きました。そうして傍らにあった椅子に腰をかけ、気を静めようとしましたが、何だか頭がぼーっとしてきました。彼は何か手ぬかりをしはしなかったかと、あたりを見まわしました。すると、支配人の着ていたモーニング・コートに、真っ赤な血が流れにじんでいましたので、さすがに薄気味が悪くなり、追いだされるように戸外に出たのであります。

空は美しく晴れて、星がまばゆく輝いておりましたが、龍太郎の熱した眼は、あたりの事物を認める力はなく、足がなんだか地につかぬような気がしました。しかし彼はかねての計画を実行することを忘れませんでした。その晩九時に、学校時代の友人たちと日比谷のS楼で懇親会を催すことになっていたので、省線電車で駆けつけたのであります。