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ぞくほうしこう

差別の根源を考える

喜田 貞吉

喜田貞吉『差別の根源を考える』。同一底本的分册已合并为一书。收入:俗法師考、融和促進、融和問題に関する歴史的考察。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 147,985 字 · 289 页

青空文庫

旧幕時代においては、武士と百姓町人との身分の相違がはなはだしかった。ことにその中頃以前においては、その差は百姓町人とエタ非人との差よりも、はなはだしかったことを疑いませぬ。しかるに今日では、武士であったところの士族と、百姓町人であったところの平民との間に、社会的地位においてどこに相違がありますか。しかるにただひとりいわゆるエタには、その身が穢れているとの迷信が伴っておったがために、その解放以来五十余年の今日まで、とかく世間との融和が困難でありましたが、それが中世の単なる迷信であって、もとよりわが固有の国風でもなければ、今日すべてが肉食を不思議とせぬ世の中となっているのであってみれば、その差別の撤廃については、もはや身分上なんら故障はなかるべきはずであります。すべからく士族と平民との間に差別のなくなったことを理想として、その差別の撤廃を実現せねばなりません。

私が「よく知る」ことの必要を宣伝するのは、実にここにあるのであります。差別するもの、差別せられるもの、よくその差別のよって来たった由来を諒解したならば、今に至ってなおその差別的待遇を継続することの無意味な次第を、十分会得することができるでありましょう。