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おもいだすことなど

思い出す事など

夏目 漱石

经历生死关头后,作者用细腻笔触回忆那段病中时光,那些细微的光影与人事,读来既心酸又温暖。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 57,003 字 · 113 页

青空文庫

ところが読み出して見ると、恐ろしく玄関の広い前置の長い本であった。そうして肝心の社会学そのものになるとすこぶる不完全で、かつせっかくの頼みと思っているいわゆる力学的がはなはだ心細くなるほどに手荒に取扱われていた。今更ウォードの著述に批評を下すのは余の目的でない、ただついでに云うだけではあるが、今に本当の力学的が出るだろう、今に高潮の力学的が出るだろうと、どこまでも著者を信用して、とうとう千五百頁の最後の一頁の最後の文字まで読み抜けて、そうして期待したほどのものがどこからも出て来なかった時には、ちょうどハレー彗星の尾で地球が包まれべき当日を、何の変化もなく無事に経過したほどあっけない心持がした。

けれども道中は、道草を食うべく余儀なくされるだけそれだけ多趣多様で面白かった。その中で宇宙創造論と云う厳めしい標題を掲げた所へ来た時、余は覚えず昔し学校で先生から教わった星雲説の記憶を呼び起して微笑せざるを得なかった。そうしてふと考えた。――

自分は今危険な病気からやっと回復しかけて、それを非常な仕合のように喜んでいる。そうして自分の癒りつつある間に、容赦なく死んで行く知名の人々や惜しい人々を今少し生かしておきたいとのみ冀っている。