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おもいだすことなど

思い出す事など

夏目 漱石

经历生死关头后,作者用细腻笔触回忆那段病中时光,那些细微的光影与人事,读来既心酸又温暖。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 57,003 字 · 113 页

青空文庫

夜中に胃の痛みで自然と眼が覚めて、身体の置所がないほど苦い時には、東京と自分とを繋ぐ交通の縁が当分切れたその頃の状態を、多少心細いものに観じない訳に行かなかった。余の病気は帰るには余り劇し過ぎた。そうして東京の方から余のいる所まで来るには、道路があまり打壊れ過ぎた。のみならず東京その物がすでに水に浸っていた。余はほとんど崖と共に崩れる吾家の光景と、茅が崎で海に押し流されつつある吾子供らを、夢に見ようとした。雨のしたたか降る前に余は妻に宛てて手紙を出しておいた。それには好い部屋がないから四五日したら帰ると書いた。また病気が再発して苦んでいると云う事はわざと知らせずにおいた。そうしてその手紙も着いたか着かないか分らないくらいに考えて寝ていた。

そこへ電報が来た。それは恐るべき長い時間と労力を費して、やっとの事無事に宛名の人に通ずるや否や、その宛名の人をして封を切らぬ先に少しはっと思わせた電報であった。しかし中は、今度の水害でこちらは無事だが、そちらはどうかという、見舞と平信をかねたものに過ぎなかった。出した局の名が本郷とあるのを見てこれは草平君を煩わしたものと知った。