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おもいだすことなど

思い出す事など

夏目 漱石

经历生死关头后,作者用细腻笔触回忆那段病中时光,那些细微的光影与人事,读来既心酸又温暖。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 57,003 字 · 113 页

青空文庫

強いられた時、余はやむなく細長く反り返った硝子の管を傾けて、湯とも水とも捌けない液を、舌の上に辷らせようと試みた。それが流れて咽喉を下る後には、潔よからぬ粘り強い香が妄りに残った。半分は口直しのつもりであとから氷クリームを一杯取って貰った。ところがいつもの爽かさに引き更えて、咽喉を越すときいったん溶けたものが、胃の中で再び固まったように妙に落ちつきが悪かった。それから二時間ほどして余は杉本さんの診察を受けたのである。

診察の結果として意外にもさほど悪くないと云う報告を得た時、平生森成さんから病気の質が面白くないと聞いていた雪鳥君は、喜びの余りすぐ社へ向けて好いという電報を打ってしまった。忘るべからざる八百グラムの吐血は、この吉報を逆襲すべく、診察後一時間後の暮方に、突如として起ったのである。

かく多量の血を一度に吐いた余は、その暮方の光景から、日のない真夜中を通して、明る日の天明に至る有様を巨細残らず記憶している気でいた。程経て妻の心覚につけた日記を読んで見て、その中に、ノウヒンケツ(狼狽した妻は脳貧血をかくのごとく書いている)を起し人事不省に陥るとあるのに気がついた時、余は妻は枕辺に呼んで、当時の模様を委しく聞く事ができた。