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おもいだすことなど

思い出す事など

夏目 漱石

经历生死关头后,作者用细腻笔触回忆那段病中时光,那些细微的光影与人事,读来既心酸又温暖。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 57,003 字 · 113 页

青空文庫

そうしてこの薄暗い灯影に、真白な着物を着た人間が二人坐っていた。二人とも口を利かなかった。二人とも動かなかった。二人とも膝の上へ手を置いて、互いの肩を並べたままじっとしていた。

黒い布で包んだ球を見たとき、余は紗で金箔を巻いた弔旗の頭を思い出した。この喪章と関係のある球の中から出る光線によって、薄く照らされた白衣の看護婦は、静かなる点において、行儀の好い点において、幽霊の雛のように見えた。そうしてその雛は必要のあるたびに無言のまま必ず動いた。

余は声も出さなかった。呼びもしなかった。それでも余の寝ている位置に、少しの変化さえあれば彼等はきっと動いた。手を毛布のうちで、もじつかせても、心持肩を右から左へ揺っても、頭を――頭は眼が覚めるたびに必ず麻痺れていた。あるいは麻痺れるので眼が覚めるのかも知れなかった。――その頭を枕の上で一寸摺らしても、あるいは足――足はよく寝覚めの種となった。平生の癖で時々、片方を片方の上へ重ねて、そのままとろとろとなると、下になった方の骨が沢庵石でも載せられたように、みしみしと痛んで眼が覚めた。そうして余は必ず強い痛さと重たさとを忍んで足の位置を変えなければならなかった。