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おそろしきつや

恐しき通夜

海野 十三

「新青年」1931(昭和6)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,092 字 · 30 页

青空文庫

に乗っていて、戦闘機を一台受持ってた。こいつは最新型というやつではないが、儂達には永年馴染の、非常に使いよい飛行機だった。当時儂の配属は、第十三戦隊の司令で、僚機として、同型の戦闘機二台を引率していたのだった。わが青軍の根拠地の土佐湾は、いよいよ持ちきれなくなって、横須賀軍港へ引移ることに決定した。多分、その日の夜に入ると、北上してきた赤軍は、勢いに乗じて、大挙土佐湾の夜襲戦を展開することだろうと、想像された。その時刻までに、わが青軍の主力は、前夜魚雷に見舞われて速力が半分に墜ちた元の旗艦『釧路』を掩護して、うまく逃げ落ちねばならなかった。それには日没前まで、航空母艦『黄鷲』を中心とする航空戦隊が、赤軍の出てくる鼻先を、なんとかして喰い留めねばならなかったのだった。

儂達の戦闘第十三戦隊の三機は、幾度となく母艦の滑走甲板から、空中へ急角度に舞いあがって、敵機とわたり合い、軽巡の戦隊を脅かした。儂達の戦隊の活躍は、自分でいうのは少しおかしいが、実に目覚ましいものだったよ。殊に僚機の第二号機に竹花中尉、第三号機には熊内中尉が単身乗りこんでいたが、その水際だった操縦ぶりは、演習という気分をとおりすぎて、むしろ実戦かと思われるほど壮快無比なもので、イヤ壮快すぎて、物凄いと云った方が当っているくらいだった。