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おそろしきつや
恐しき通夜
海野 十三
「新青年」1931(昭和6)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,092 字 · 30 页
第一話 川波大尉の話
これから皆で、一時間ずつ交替で、なにかこう体験というか、実話というか、兎に角、睡気を醒ます効目のある話――それもなるたけ、あまり誰にも知られていないという話を、此の場かぎりという条件で、喋ることにしちゃ、どうだろうかね」
「ウン、そりゃ面白い」と星宮理学士が、すぐ合槌をうった。
「いま九時をすこし廻ったところだから、これから十時、十一時、十二時と、丁度真夜中までに、三人の話が一とまわりするンじゃ。川波大尉殿、まず君から、なにかソノ秘話といったようなものを始め給え」
「儂に口を開かせるなんて、罪なことだと思うが」と川波大尉は、ちょっと丸苅の坊主頭をクルリと撫でながら、「どうせ三人きりのことだ。一人脱けたって面白くあるまい。それじゃ、何か話そうか、ハテどんなことを喋ったものか……」
第一話 川波大尉の話
「大蘆原さんが云ったとおり、本当にこれは此場かぎりの話なんだが、一昨年の秋の事、南太平洋で海軍の特別大演習があった時の事だったが、演習もいよいよ峠が見えて来た四日目。場所は、退却を余儀なくされている青軍の最前線にあたる土佐湾の南方五十浬の洋上だった。
儂は、この青軍の航空母艦『黄鷲』