轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じょうき

情鬼

大倉 燁子

「踊る影絵」柳香書院、1935(昭和10)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,393 字 · 35 页

青空文庫

あなたも一緒に行らっしゃい」

夫人は荒原の女豹が獲物を捕える時のように生き生きとした眼を輝かせながら、私を伴れて外へ出た。私はちょっと狐につままれたような気がした。

「吉岡五郎さんは支那へ帰ったんじゃございませんの?」

「いいえ、東京にいるんですよ」

「もうやって来たんですの?」

「ずうっといるんです。支那へ帰ったなんて嘘ですよ」

夫人は先に立って円タクを交渉し、京浜国道を驀地に大森の方へ走らせた。

途々夫人はこんなことを云った。

「小田切さんの妹さんの処で日記を見たでしょう? それから吉岡って人怪しいと思ったんですよ。あの日記で読むと大使は死ぬ日の夕方吉岡さんを連れて中禅寺湖から日光へ歩いたんです。二人で山越しをしながら云々という処があったんですもの――」

「でも、どうして今までそれが問題にならなかったのでしょう? 日記があったなんて事はどの新聞にも書いてございませんでしたがね」

「日記は持ち去った人があったのでしょう。よしんばその場に日記があったとしても他人には解らないでしょう。特殊の文字が使ってありますから、つまり暗号なのですが私は幸いそれを知っていましたからね、まあ吉岡さんに会ったら、何かもっと新らしい発見があるだろうと思うんです」