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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页
行き詰まりは驚くに足りない、書かねばならないことは何度書いていても、そこに命があればそれを読み分ける方にも、よろこびがあるというものだ。
わが児は歩む
吾が児は歩む
大地の上に下ろされて
翅を切られた鳥のやうに
危く走り逃げて行く
道の向ふには
地球を包んだ空が蒼々として、 (後略)
この詩は八十行からの長詩であるが、最初の六行の美しさをうすく後の詩でうめたようで、この六行のすばらしさには及ばない。「地球を包んだ空が蒼々として、」の表現には、無限という言葉がしっとりと包まれている。彼がたまに見せる詩の奥は、所謂かがやくばかりだと言ってよい。
初めて小供を
初めて小供を
草原で地の上に下ろして立たした時
小供は下許り向いて、
立つたり、しやがんだりして
一歩も動かず
笑つて笑つて笑ひぬいた、 (後略)
「子供は下許り向いて」歩いている状態には、子供自身も危ながる心づかいがうかがわれ、そこに着眼した愛情の眼づかいが、こまかく、さすがに生きた逞しいものを掴まえている。千家は物を見つめるよりも、いつも、さっと通りすぎる視界で捉える物を捉えていたが、ここでは、時間的にくい込んでいる眼があるのだ。