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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页
芥川龍之介はそれを偽善者だと言ったが、それは芥川の警句の中でも一等拙い警句であった。姪であろうが従妹であろうが、これを愛するのに何の怖れをこの人生に感じるものか、悪い事をしているわけではない、愛しているのである、人生には愛しているという実際の事では一つも悪いことはない、しかも藤村はその時は独身だった。愛していることは人間の倖せ最中なのだから、われわれはそれを傍から騒ぐのはばかを見るだけだ。たまに愛というものが死に振り返えられるかも判らない、いまでも、そんな損だらけの道をえらぶ人もいるが、愛していたら途方もなくぬけぬけと生きぬくことだ、藤村のえらんだ道は立派で新しい、一さいを自分の中にしまいこんで、少しも、まようことなく愛していたからである。
(前略)
ああ、孤独の悲痛を
味ひ知れる人ならで
誰にかたらん冬の日の
かくもわびしき野のけしき (後略)
黄昏
つと立ちよれば垣根には
露草の花さきにけり
さまよひくれば夕雲や
これぞこひしき門辺なる
瓦の屋根に烏啼き
烏帰りて日は暮れぬ
おとづれもせず去にもせで
螢と共にこゝをあちこち
いまから三十五年くらい前に、『赤い鳥』