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わがあいするしじんのでんき

我が愛する詩人の伝記

室生 犀星

北原白秋「婦人公論 第四十三巻第一号」1958(昭和33)年1月号<br>高村光太郎「婦人公論 第四十三巻第二号」1958(昭和33)年2月号<br>萩原朔太郎「婦人公論 第四十三巻第三号」1958(昭和33)年3月号<br>釈迢空「婦人公論 第四十三巻第四号」1958(昭和33)年4月号<br>堀辰雄「婦人公論 第四十三巻第七号」1958(昭和33)年7月号<br>立原道造「婦人公論 第四十三巻第八号」1958(昭和33)年8月号<br>津村信夫「婦人公論 第四十三巻第九号」1958(昭和33)年9月号<br>山村暮鳥「婦人公論 第四十三巻第十一号」1958(昭和33)年10月号<br>百田宗治「婦人公論 第四十三巻第十二号」1958(昭和33)年11月号<br>千家元麿「婦人公論 第四十三巻第十三号」1958(昭和33)年12月号<br>島崎藤村「婦人公論 第四十三巻第六号」1958(昭和33)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 116,728 字 · 231 页

青空文庫

という童話雑誌が出ていて、それと同系のこれも童話雑誌の『金の船』が発行されていた。初夏の頃だったがその『金の船』の婦人記者とも見える一人の少女が、当時田端に住み、小説というものをそろそろ書きはじめ、自称新進作家の中に割り込んでいた私を訪ねて来た。少女はまだ十九歳くらいで、まんまるくふとり、よく聞きとれないくらいの低音で『金の船』に童話を書いていただきたいという来意だった。だが、この声の低い記者の人は、今日あがりましたのは、実は先日島崎藤村先生のお宅にうかがった折、藤村先生は専門の童話家におたのみになるより、いままで童話というものに手をつけていない作家に書いて貰った方がよい、たとえば佐藤春夫とか室生犀星とかいう人は、まだ童話を書いていないから、書いて貰えば変った物が出来そうだし、童話も別途にいきいきしてくるのではないか、行って頼んでごらんなさい、きっと面白いものを書いてくれますよと、藤村先生が仰有ってくださいましたので、今日、あがったわけでございます、と言って彼女は急に気づいて、わたくし名刺も差し上げませんでしたが、と、このにこにこした少女は一枚の名刺を差し出した。