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「しなゆうき」

支那游記

芥川 竜之介

芥川龙之介受报社之命游中国,出发前还笑话朋友怕晕船,结果自己一上船就吐得稀里哗啦。这趟旅行到底会见识到啥?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,859 字 · 105 页

青空文庫

余氏は我々を案内しながら、軒燈の名前を読んで行ったが、やがて或家の前へ来ると、さっさと中へはいって行った。はいった所には不景気な土間に、身なりの悪そうな支那人どもが、飯を食ったり何かしている。これが芸者のいる家とは、前以て聞いていない限り、誰でもとしか思われまい。しかしすぐに階段を上ると、小ぢんまりした支那のサロンに、明るい電燈が輝いている。紫檀の椅子を並べたり、大きな鏡を立てたりした所は、さすがに一流の妓館らしい。青い紙を貼った壁にも、硝子を入れた南画の額が、何枚もずらりと懸っている。

「支那の芸者の檀那になるのも、容易な事じゃありませんね。何しろこんな家具類さえ、みんな買ってやるのですから。」

余氏は我々と茶を飲みながら、いろいろ嫖界の説明をした。

「まあ今夜来た芸者なぞだと、どうしても檀那になるまでに、五百円位は要るでしょう。」

その間にさっきの花宝玉が、ちょいと次の間から顔を出した。支那の芸者は座敷へ出ても、五分ばかりすると帰ってしまう。小有天にいた花宝玉が、もう此処にいるのも不思議はない。のみならず支那では檀那なるものが、――後は井上紅梅氏著「支那風俗巻之上、花柳語彙」