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かいていごじょうほう

改訂御定法

山本 周五郎

「文藝朝日」朝日新聞社、1962(昭和37)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 页

青空文庫

そして、今日はこれまでと云い、席をさがって朝倉城代に低頭した。

「おどろいたな」控え所で待っていた宗兵衛が云った、「いったいなにを考えてあんな面倒なことをするんだ」

「朝倉老はごきげんだったか」

「だったろうね、かんかんになってものも云わずに出ていったよ」

「そのうちには慣れるだろう」

「十五日にも今日のような吟味をするのか」

「初めに云わなかったか、たっぷりとな、って」と直衛は云った、「忘れないでくれよ」

「そんな意味だとは知らなかったね」

「じゃあいまわかったわけだ」

「いい気持らしいな」

「そうでなくってさ」と云って直衛はにやっと笑った、「佳奈によろしく伝えてくれ」

その佳奈が、御殿下にある中所の屋敷へ来て待っていた。小菊の模様を散らした元禄袖の常着に、秋草を染めた白地の半幅帯という略装で、直衛が帰ったとき、客間で古瀬戸の壺に紅葉した山はぜを活けていた。直衛は着替えた袴の紐を緊めながら出てゆき、活けている佳奈の姿を、立ったままうしろから眺めていた。佳奈は振向きもせず口もきかなかったが、やがて活け終ると、暫く見まもっていて、その姿勢のまま、いかが、と問いかけた。