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かいていごじょうほう
改訂御定法
山本 周五郎
「文藝朝日」朝日新聞社、1962(昭和37)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 页
いずれも裁決をどうするか、という懸念のためであったが、直衛はどの老職にも、「当日お立会い下さい」と云うだけで、どう裁くかについては一と言も語らなかった。そのほかには御用商人の大橋屋茂兵衛が、夜になってから枡屋和助といっしょにやって来た。大橋屋は全般の御用、枡屋はお金御用達で、これもまた要屋の裁きがどうなるかについて、直衛の肚を打診するつもりのようであった。さすがに口には出さなかったし、直衛も気づかないふうをよそおいとおし、二人は僅かな時間いただけで帰った。
十日の夕方には河本宗兵衛が妹を伴れて来た。佳奈はあとから、召使の少女と来たのだが、いろいろな訪問客のあることを聞いたのだろう、裁決の済むまで佳奈に手伝わせよう、というのであった。そんなに騒ぐほどのことはないと云ったが、直衛はしいて断わらなかった。
「いいだろう」と彼は頷いた、「どうせまもなく祝言をするんだから、自分の居間でも片づけておくんだな」
「もう片づいていますわ」あとから来た佳奈は、茶を持って来ながら云った、「箪笥とか長持のような嵩張る品は、とっくにこちらへ運んであります、ご存じなかったんですか」