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かいていごじょうほう

改訂御定法

山本 周五郎

「文藝朝日」朝日新聞社、1962(昭和37)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 页

青空文庫

早かれ玄蕃の自決はまぬがれなかっただろう、けれども、詰腹を切らせることは間違いだ、要屋の訴えはどうしても白洲で裁かなければならなかったのだ」

「そこにも問題がある、要屋主従に三十日の入牢を命じたことは、重職がたでも不当だといって」

直衛は片手をあげて制止した、「――おれの裁きの要点はそんなところにあるのではない、要屋がなにを目安に、あれだけ多額な金品を貸したか、ということをはっきりさせたかったのだ」

宗兵衛は眼をしばだたいた。

「要屋が金品を貸したのは、矢堂個人にではない、わが五万二千石の藩が目安だったのだ」と直衛は云った、「新しい御定法によって、いざとなればどんな多額な貸も取り戻せる、それを目安に貸した、ということをはっきりさせたかった、――これをしなければ、御定法のゆきすぎに乗じて、今後も家中の者が同じような穴に落される危険が充分にある、おれはその危険を除きたかったのだ」

宗兵衛は黙ったまま頷き、また頷いた。

「おそらく、要屋主従はこの意味を察したであろうし、城下の商人どもも懲りるであろう」と直衛は云った、「――喜四郎と番頭手代らは、十日ほどしたら帰宅させることにしよう」