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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页

青空文庫

「アア、変だねえ。矢の印がほりつけてあるじゃないか」

一郎君もそれに気づいて、ツカツカと木の幹のそばへ近づきました。

二かかえもあるような太い幹の、少年たちの頭ぐらいの高さのところに、十センチほどの横向きの矢の印がほりつけてあるのです。たしかに鋭いナイフでほりつけたものです。

「やっぱり人間がいるんだぜ。動物にこんなこと出来るはずはないからね」

「野蛮人だろうか」

「そうかも知れないよ」

三人はゾッとしたように顔を見合わせました。

おとし穴といい、矢の印といい、もううたがうところはありません、この島には人間がいるのです。無人島とばかり思いこんでいたこの島に、人間が住んでいたのです。

ポパイも何かの匂を感じたのか、不安らしく、その辺をかぎまわっています。哲雄君は、ポパイの様子をじっと見ていましたが、やがて、何を見たのか、ハッとしたように、いきなりポパイの歩きまわっているそばへ走って行きました。そして、腰をかがめて、そこの地面をじっと見つめながら、

「ちょっと、ここへ来てごらん。又靴のあとだよ。でも、今度は保君のじゃない。大人の靴だよ。鋲の打ってない上等の靴だよ」