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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页

青空文庫

「ヘンリーは、僕たちに黄金の国へ行けとは言わなかったけれど、きっと自分の代りに僕たちが探検すればいいと思っていたのだろうね」

三人の中では一番勇気のある一郎君が、探検旅行に出かけてみたくてしかたがないという顔で、口を切りました。

「そりゃそうかも知れないけれど、ヘンリーでさえ、黄金の国へ行く道をハッキリしらない様子だったから、子供の僕たちが、うまくそこまで行けるかしら。それにヘンリーの話では、そこへ行く道にはずいぶん危険なところがあるっていうのだから」

哲雄君は、考えぶかいだけに、ちょっと聞くと臆病とも取れるような口のきき方をします。

「でも、いくら待っていたって、僕たちを助けてくれる船なんて、来っこないよ。どうせこの島にいるくらいなら、もっと奥の方へ行ってみたいなあ。あの高い山のむこうに、そんな美しい国があるのかと思うと、僕はなんだかゾクゾクして、我慢が出来ないような気がするんだよ」

保君はあくまで無邪気です。

「そうだよ、保君のいう通りだよ。僕たちは、わるくすれば、一生涯この島にとじこめられているのかも知れないんだ。どうせ島から出られないとすれば、同じところにグズグズしているより、出来るだけ島の中を探検して見る方がいいと思うよ。