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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
「それはきっとなんでもないのだよ。ほんとうの金かも知れないけれど、金の腕環なんて、どこでだって出来るんだからね。なにも、この島の黄金の国から持って来たとはきまっていないよ」
一郎君は、だまされたのが、くやしくてたまらないという調子です。
「でも、何だか変だよ。ごらん、この腕環の蛇の形は、野蛮人が彫ったとしか思えないよ。僕たちの手工だって、もっと上手にやれるからね。それでいて、なんだかこの蛇、生きているような変な気がするんだ。やっぱり、ヘンリーはほんとうのことをいったんじゃないかしら」
哲雄君は、どうも腑におちないというように、小首をかしげています。そして、
「もう少し行ってみようよ。僕たちは湖水の岸をすっかり見たわけじゃないんだからね。そして、湖水をグルッと一周して、元の場所へ帰ればいいんだ」
と、あきらめきれないようにいうのでした。
そこで、また少年たちは櫂をこぎはじめ、断崖にそって、筏を進めましたが、しばらく行きますと、保君が、
「ア、大きな水鳥がいる。今までのよりずっと大きいよ。一郎君、あれ撃ってごらん」
と、さけびました。
「ア、ほんとだ。よし」