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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页

青空文庫

「変だなあ、地の底でこんなにあつくなるなんて」

哲雄君はどうもがてんがいかないものですから、ふと気づいて、筏のふちへ這いよって、手を流の水の中へ入れてみましたが、入れたかと思うと、「アッ」とさけんで、手を引きました。

「どうしたの? 哲雄君じゃないか」

「ウン、一郎君、水の中へ手を入れてごらん。あついんだよ。お湯みたいだよ」

一郎君も保君も、いそいで手を入れてみましたが、二人とも「アッ」といって、その手をひっこめました。

「あつかったはずだよ。僕たちはわき立っている湯の中を流されていたんだもの。でも、どうしたんだろうね。気味が悪いね」

「今さっきまで、つめたい水だったよ。急にあつくなったんだよ。何だか進むほどだんだんあつくなるような気がするね」

いったいこれはどうしたというのでしょう。何ともえたいの知れぬ不気味さです。三人は思わず筏の真中の方にすりよって、ドキドキしながら、次に起ることを待っているほかはありませんでした。

そして、すこしたつと、今度もまた、保君が一番早くそれに気づいて、頓狂な声を立てました。

「アラ、一郎君、君の顔が見えるよ。ホラ、ボーッと白く見えているよ」