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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
しばらくすると、哲雄君が何か思いついたらしく、例の考えぶかい口調でいいました。
「魔物なんていやしないよ。そんなばかなことあるはずがないよ。でもね、僕、今ひょいと思いついたんだけど、僕たちの筏は同じところを、グルグルまわっていたのかも知れないと思うのだよ」
「エ、グルグルまわっていたって? どうしてさ」
一郎君の声がびっくりしたようにたずねます。
「僕たちは筏の両方のはじで、板で水をかいていたんだろう。だからね。もしその漕ぐ力が、右と左で少しずつちがうとしたら、どうなると思う?
力の強い方が、弱い方の側より、少しずつ早く進むわけだね。そうすると、筏は力の弱い方の側へ曲っていくわけじゃないか。少しずつ、少しずつだよ。でも二時間も三時間も漕いでいるうちには、グルッと一まわりして、又もとのところへもどってくることになるだろう。そして、大きな輪のように、いつまでも、同じところをまわっているのかも知れないぜ」
「ア、そうだ。僕そんな話を聞いたことがあるよ。曇った日に沙漠を旅している人が、向こうに何も目じるしがないものだから、知らず知らず同じところをグルグルまわっている話だよ。