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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
それほど、目の前の景色が異様だったのです。夢でも見ているのではないかと、うたがわれるほど、ふしぎな眺めだったのです。
そこは、さしわたし五百メートルもあろうかと思われる広っぱでした。でも、ただの広っぱではないのです。土が真白にかがやいているのです。イヤ、土ではありません。地面全体が少しずつでこぼこのある、大きな白い岩なのです。
その広っぱのまわりには、三人の立っている林の方をのけて、三方を、グルッと山がとりまいています。それもただの山ではなく、けずり取ったような高い高い岩山が、ニョキニョキとおそろしい姿で空にそびえ立っているのです。
その山には土というものがないとみえ、木も草も生えていません。ただ輝くばかりの白い岩が、広っぱをグルッと取りかこんで、目もはるかにそびえ立っているばかりです。たとえていえば、そこは、ちょうど白い瀬戸物のコップのような形なのです。広っぱをコップの底とすれば、まわりの山々はコップのふちにあたります。それほど山が高くて、けわしいのです。
それだけでも非常に変った景色ですが、そこには、もっともっと驚くべきものがありました。
一方の白い岩山のすそに、大きな段のようになったところがあって、そこに建物の柱らしいものが、何十本となく立っているのです。