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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页

青空文庫

というのです。

「エ、どうしたの? 何が残念なの?」

保君が哲雄君の顔をのぞきこむようにしてたずねます。

「マッチが手に入らなかったことさ。君たちも知っているとおり、あの料理場にあったマッチは皆、波にぬれて役に立たなくなっていただろう。だから僕は、ほかの部屋をずいぶん探したんだけれど、どこにもマッチはなかったのさ」

「ア、そうだね。マッチがないのは残念だね。僕たちは又毎晩、まっくらな中でくらさなければならないんだね」

一郎君も困ったように腕ぐみをしました。

少年達は、猛獣を防ぐのには、焚火をするのが一ばんいいということを、少年雑誌で読んで、よく知っていました。ですから、きのうはオールをつくるかたわら、いくどもそのことを話しあい、やはり少年雑誌に教えられた智恵で、野蛮人が火をつくるやり方をまねて見たくらいです。

それはかたい木の棒の先をけずって、するどくとがらせ、木の板の上にあてて、錐をもむように早くまわしますと、木と木との摩擦で熱が起って、そのそばへよくかわいた枯草などをおけば、それが燃えて、火が出来るのです。

少年達はいくども、そういう木の棒をつくって、みんなの手の平が痛くなるほどやって見ましたが、どうしてもうまくいきません。