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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
そして、頂上の岩のさけ目にオールを立て、倒れないように三方から木の棒でささえをしたのです。
この仕事では、木登の上手な保君が、岩山をのぼったりおりたりして、一番よく働きましたが、最後には、ポパイにも国旗をおがませてやるのだといって、犬をだいて岩山をよじのぼるのでした。
インキの色も生々しい日の丸の国旗は、オールの旗竿の上で、ヒラヒラと風になびいています。青々とした大空を背景に、真白な白麻、真赤な日の丸、なんともいえぬ美しさです。
少年達はそれを見ているうちに、いつともなく、胸の底から「万歳」という声が湧き上って来ました。両手が思わず空にあがりました。そして、声をそろえて、いくどもいくども、「バンザーイ、バンザーイ」とくりかえすのでした。ポパイもうれしそうに尾をふって、妙な声で吠えたてました。それらの声が一つになって、はてしもない大海原の上をただよい、はるかの沖合へ消えて行くのです。
その日は朝からうれしいことばかりで、少年達は不幸のうちにも仕合せな一日を送りましたが、この喜びがいつまでつづくことでしょう。にぎやかな日のあとには、前にもましてさびしい日が来るのです。