轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

08 第八分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,758 字 · 383 页

青空文庫

岡山の東方一里ばかり乙多見村附近で、一修験者が、検察隊に誰何された。

さきの偽盲があわれなふりを装ったのと反対に、この山伏は傲岸な態度に出て、

「それがしは聖護院印可の優婆塞で、京都因幡堂に住す金井坊というものである」

と、云い、訊問にたいしても、尊大にかまえ、

「真夜半あるくは、山伏のならいだ。修行となれば、道なき道も行き、眠らずにも歩く。――なに、行く先はどこだと。つまらぬことを問い給うな。行雲流水の身、あてなど持って歩いたことはない」

と、飽くまでひとを煙に巻いて逸早く去ろうとする気振りだったが、隙を見て、検察の一兵が、槍の柄でいきなり向う脛を払うと、口ほどもなく、

「痛いッ」

悲鳴をあげてぶッ倒れた。

半裸にして調べてみると、果たせるかな、本来の山伏ではない。石山本願寺系の僧らしく、本能寺の変と共に、毛利方へ密報すべく昼夜をかけて急いで来た者とわかった。

で――これも直ちに、秀吉の本陣へ、荷駄同様に急送された。

同夜の獲物は、この二人限りだったが、うち一名でも、警戒網を洩れて、その目的が成功していたら、信長の死は、即日毛利方へ知れていたわけである。