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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

10 第十分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 页

青空文庫

一備前、美作、因幡など、西国表は、一人もうごかさず、大磐石。紀州、泉州へも、昨日、蜂須賀、黒田、生駒、赤松などの人数六、七千も増してやり申した。

このほか、秀吉は、このたび大戦にのぞむ兵力配備を、微に入り細にわたり、しかも具体的に、一切ぶちまけて長秀への書面に書かせた。そしてまた、

一右のように、こちらは万々御懸念は御無用であるが、御身の御用心と、御城の御用心こそ、肝要たるべきこと。

と、かえって、長秀の健康に注意を云い添え、さらに、前田又左衛門利家こそ、北陸では無二の同心の者だし、北陸の一の木戸でもあるゆえ、せっかく充分に意志の疎通を計られて、唇歯のお交わりあるようにとも云い添えている。さらに終りには、

一もしそちらに人数がお入用なら、蜂屋、金森はお返しする。そのほか五千や一万の軍勢はいつでも加勢に向ける余裕があり申す。

一このところ、世上一般は、物狂いのていで、人心恟々としており申すが、筑前は覚悟をもって、ここ十四、五日のうちには、きっと世をしずめて見せ申すべくに付、くれぐれお案じなきように。

として、擱筆させた。

使者はこれを持って、この数寄屋からすぐ北陸へいそいだ。