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にほんせいしんしけんきゅう

日本精神史研究

和辻 哲郎

推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页

青空文庫

そこで翁は迷惑して歌を作った。その歌は翁が若いころいかに美しくいかに女らを迷わせたかを歌ったものである。そうして反歌では、「今に汝らも白髪になるであろう」、「白髪になれば自分のようにまた若い子らにののしられかねまい」と歌っている。それに対して九人の乙女が、九首の歌で答える。すべて翁に挑みかかる歌である。これらの歌をよむと、そこには恋する力のない老翁と恋ざかりの若い乙女との間の唱和はあるが、神仙に逢ったという特殊な境位を思わせるものはなんにもない。また「竹取」の翁と竹との関係もこれらの歌からは知ることができない。しかしもしこの前書きが歌とともに古いものであるとすれば、竹取の翁が神仙の女に逢ったという伝説が、古くより存したことは疑いを容れない。そうしてまた、これらの歌がその伝説と矛盾しないものであるならば、我々はこれらの歌の作者が、神仙の女に逢ってしかもいかんともすることのできなかった老翁の心に興味を持って、それを題材にとったものだと見なくてはならない。そう見ればこれらの歌は、竹取の翁の伝説を踏んではいるがその伝説を詠んだものではない、とともにその伝説は、『竹取物語』