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にほんせいしんしけんきゅう

日本精神史研究

和辻 哲郎

推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页

青空文庫

この意味で道元は財欲の放棄と乞食の生活とを「僧侶」に向かって力説した。それは土地を所有し裕福に暮らすに慣れた在来の僧侶にとっては、確かに新しい道であった。僧侶の生活がもし仏の真理の体得にあるならば、檀那外護の扶持をうけて「衣糧に煩ふことなく」仏道を行ずるのが、畢竟目的にふさわしいではないか、と人はいう。しかし道元にとっては、極少の財といえども、貯えることによって道心を害する。檀那の信施を明日の食のために取っておくのは、財を貯えることである。「衣糧に煩ふことなく」とは明日の準備をあらかじめしておくことではなくして、明日の食を全然念頭に置かないことでなくてはならぬ。もとよりこのことは、寺院に常住物なく、乞食の儀もまた絶えて伝わらないわが国においては、特に困難であるかも知れない。しかしそれにもかかわらず仏徒はあらかじめ食を思うべきでない。絶食するに至って初めて方便をめぐらすべきである。「三国伝来の仏祖、一人も飢ゑ死にし寒え死にしたる人ありときかず。」世間衣糧の資は「生得の命分」があって、求めても必ずしも得られない。求めずとも必ずしも得られぬのではない。