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にほんせいしんしけんきゅう

日本精神史研究

和辻 哲郎

推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页

青空文庫

「われは大比丘なり、年少の得法を拝すべからず。われは久修練行なり、得法の晩学を拝すべからず。われは師号に署せり、師号なきを拝すべからず。われは法務司なり、得法の余僧を拝すべからず。われは僧正司なり、得法の俗男俗女を拝すべからず。われは三賢十聖なり、得法せりとも比丘尼等を拝すべからず。われは帝胤なり、得法なりとも臣家相門を拝すべからず」というごときは、「不聞仏法の愚痴のたぐひ」である。世間的な階級秩序は、法の権威によってことごとく覆されねばならぬ。

この見地から道元は世上に行なわれる一切の差別に対して痛撃を加えた。特に彼が熱心に攻撃するのは、仏教界に著しい女の差別待遇である。彼は暖かい同情をもって、宋の末山尼了然がいかに志閑禅師を教化したか、また仰山の弟子妙信尼がいかに十七僧に痛棒を喰らわせたかを語った。そうして女流もまた男子と同じく得道することを説いた後に、淫欲の誘惑として女を斥けるものを痛罵している。女が染汚の因縁であるならば男もまた女にとって染汚の因縁であろう。それを嫌わば男女は永久に敵である。のみならず染汚の因縁となるのは女人のみでない。夢も天日も神鬼も、あるいは仏像さえも、その因縁となることがある。