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にほんせいしんしけんきゅう

日本精神史研究

和辻 哲郎

推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页

青空文庫

が、これらの不自然や空虚の感じは、通例、仏像や菩薩像に親しむにつれて薄らいで行き、その代わりに、そこに西洋美術の美しさとは質を異にした美しさが、見いだされてくる。そうしてこれらの特殊な、以前には不自然に見えた相好が、いかに仏像や菩薩像に必要であるかが理解される。が、それは何ゆえであるか。何ゆえにこの相好が仏菩薩として美しいのであるか。この疑問については、それがインド及びシナ伝来の様式であるという以外には、久しい間何の答えをも自分は見いだすことができなかった。しかるにこの疑問は、ついに嬰児によって自分に解かれたのである。

最初自分は、生まれて間のない嬰児の寝顔を見まもっていた時に、思わず「ああ仏様のようだ」と言おうとした。が、その瞬間にまた愕然として口をつぐんだ。我々の日常語においては、「仏」という言葉はその本来の深い意義を失って、ただ平俗に「死人」を意味する。(初めは弥陀の信仰を背景とした慰めの心づかいから起こった用法であろうが、やがては、深い観念を現わす言葉を浅薄化するという日本に著明な傾向の有力な一例となったのである。)すでに死人を意味する以上、自分は内に残存する原始的な信仰――不祥な言葉が不祥な出来事を引き起こすという言葉の魔力の信仰によって、この「縁起の悪い」