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にほんせいしんしけんきゅう
日本精神史研究
和辻 哲郎
推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页
仏菩薩像の作家が表現せんと欲する仏菩薩は、経典の説く所によれば、ギリシアの神々のような具体的な幻相を伴なったものではなくして、むしろ理念である。もとより経典はこれらの仏菩薩にもおのおのその形姿や浄土を与えてそれを感覚的なる事物によって描いてはいる。しかしそれは理念の象徴的表現であって、「身長八十万億那由他由旬、……その円光の中に五百の化仏あり、一々の化仏に五百の化菩薩あり、無量の諸天を侍者とす、……また八万四千種の光明を流出し、一々光明に無量無数の化仏あり、一々の化仏に無数の化菩薩あり」(観無量寿経、観音)というごとく、ほとんど視覚の能力を絶するものである。ただ釈迦仏の三十二相(仏本行集経、相師占看品)のみは最も具体的な描写であるが、しかし「皮膚、一孔に一毛旋り生ず、身毛、上に靡く」というごとき、彫刻に表現し難き多くの相を除いて、表現し得る相はすでにインド伝来の様式の内につくされている。かくて仏像作家にその創作の根本的な動力を与えるものは、仏菩薩の理念が彼の内に呼び起こした霊感でなくてはならぬ。彼らは伝来の様式が与えた輪郭の内にこの霊感を充たせることによって、模倣芸術に見られない原本的な美しさを創り出し得たのであろう。