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にほんせいしんしけんきゅう

日本精神史研究

和辻 哲郎

推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页

青空文庫

この意味から我々は天平様式の名によって白鳳より天平に至る諸美術の様式を言い現わし、いわゆる白鳳時代を前期、奈良朝特に聖武孝謙時代を後期として、この間に同一様式内の開展があると考える。まずこの開展の考察から始めよう。

白鳳美術においてはすでに顕著に推古様式との原理的な分離が見られる。形に現われた点について言えば、推古様式の本質的特徴をなしているところの「抽象的にして鋼鉄のごとく鋭き線」や「抽象的な肉づけ」などを離脱することである。しかしこの分離は二つの方向に向かって行なわれている。一は薬師寺聖観音、法隆寺壁画などにおけるごとく、直観の喜びの表現を著しい合理化の傾向と結合して遂行せるものである。ここにはいわゆるギリシア仏教式特徴が芸術的に醇化されて現わされているのを見る。北インドあるいは中央アジアのギリシア仏教式遺品は、ルコックの呼ぶごとく、古代末期の様式に属するとも言えるであろうが、白鳳の美術は決して末流的なものではなくして新鮮な溌剌とした新様式である。第二は橘夫人念持仏、新薬師寺香薬師などにおけるごとく、この新様式と推古様式との巧妙な融合に成功せるものである。