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わせだだいがく

早稲田大学

尾崎 士郎

尾崎士郎『早稲田大学』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「早稲田大学」凡例、早稲田大学、早稲田大学について、風蕭々、学校騒動。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,204 字 · 220 页

青空文庫

杉山は民論の急先鋒であることを自任しながらも腹の底では高を括っていたのである。それよりも、彼はこの機運をつかんで藩閥政治を倒すことの方がはるかに重要だと考えていた。それに、玄洋社からは頭山と美和(作次郎)が同志をつれて中央に乗りだしていっている。彼は一ト月前に後藤(象二郎)の胸の底を打診してかえったばかりだ。谷干城、三浦梧楼、鳥尾小弥太等を中心とする反対論の火の手は日に日に高まっているし、大隈の支配下にある外務省の中でさえ若い外交官の小村寿太郎なぞは反対論を唱えているではないか。九州でも、長いあいだ犬猿の感情を持ちあつかいかねていた玄洋社と熊本国権党が、どっちから先に寄り進んだというわけでもなしに近づいて、条約改正中止を断行する意気込をもって筑前協会を組織し、大隈が唯一の恃みとする九州改進党に対抗しようとしているのだ。井上の保安条令以来狂い立った民論はもう防ぎようのないところまで来ている。そのように沸騰する民論の動きの見えぬ大隈ではない。彼は唯乗りかかった船の始末に迷っているのだ。――頑張りきれるところまでがんばって、民論の潮流が自分に有利な方向へ展開して来そうなところでひと芝居打とうとする大隈の腹を、杉山は彼一流の人間認識によって簡単に読みとろうとしていたのである。