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わせだだいがく
早稲田大学
尾崎 士郎
尾崎士郎『早稲田大学』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「早稲田大学」凡例、早稲田大学、早稲田大学について、風蕭々、学校騒動。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,204 字 · 220 页
やっと、数がふえて二十人あまりになったとき東山松次郎が立って、キビキビした調子で学校当局の横暴について語り、今こそ全学生は天野学長のために奮起すべきであるといって、感動的なゼスチュアをまじえながら、ぐいぐいと畳みかけてくるような熱弁をふるったが、聴衆の数がすくない上に、あつまっている連中は、ほとんど顔見知りのひとくせある学生政客ばかりで、東山が降壇すると、みんな挨拶のような拍手を送っていた。しかし東山の持っている情報も漠然とした輪郭を示す程度のもので、学校内部で、だれがどのような陰謀を行っているのかまるで見当もつかなかった。
そこへ、雄弁会の先輩である、杉ヶ枝高二、保谷仁太郎、越永安平等の、実際政治運動に体験のある連中がどやどやと入ってきた。その晩、神楽坂上にある寄席、神楽坂倶楽部で選挙権拡張についての政談演説会があり、弁士として出場した彼等は、途中で一杯やってきたらしく、一人一人演壇に立っては校内の情弊を打破し、早稲田をして真に自由と独立の学府たらしめよ、というようなことを滔々とやりだした。彼等にとっては高田や天野の問題よりも、むしろ今夜彼等が神楽坂倶楽部で行った普通選挙断行論の方が、はるかに切実な問題であった。