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わせだだいがく
早稲田大学
尾崎 士郎
尾崎士郎『早稲田大学』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「早稲田大学」凡例、早稲田大学、早稲田大学について、風蕭々、学校騒動。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,204 字 · 220 页
小野の苦衷を察した大隈は、思いあまって、その頃、残忍非道の高利貸として知られていた横浜の平沼専蔵から金一千円を借りて、やっと窮途に備えることができた。利子は毎年二回払込むことになっていたので、幹事、市島謙吉が大隈の代理として期日の迫るごとに利子を持って横浜に通うのが常例とされていた。しかし、大隈に心酔していた平沼は期日が来ても格別催促をするようなこともなく、市島が行くごとに、座敷へあげて彼を激励した。元金の一千円も彼は最初から返してもらう気はなく、数年の後、学校へ寄附してしまった。これが東京専門学校寄附金の最初であると言われている。このような曲折にみちた激しい時代的環境の中で、ともかくも東京専門学校がそれも唯、存在を保ったというだけではなく、年毎に発展していったということは、今から考えると、あまりにも不思議な出来事である。
第一回の卒業式がひらかれたのは明治十七(一八八四)年七月で、政治科は四人、法律科は八人、総長大隈重信の名義によって、それぞれ得業生の証書が授与された。卒業式場は、ようやく竣工したばかりの新講堂である。青葉をゆるがして窓から吹き入る風はすがすがしく、講壇をはさんで左に評議員、右に教授の席が設けられたが、しかし、その日、当然式辞を述ぶるべき筈の小野梓は見るかげもなく憔悴して、椅子に自体