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わせだだいがく
早稲田大学
尾崎 士郎
尾崎士郎『早稲田大学』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「早稲田大学」凡例、早稲田大学、早稲田大学について、風蕭々、学校騒動。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,204 字 · 220 页
もし、天野学長に野心と人間的魅力があったなら、この事件が第三段階に移って、背後的勢力が政党によってかためられようとしたとき、対社会的な波紋は一層大きくひろがったであろう。天野学長は政治性を伴わぬ純粋無垢な学究の徒で、私心というべきものがなく、その上、名利に恬淡なために、おそらく唯、自然の成行に従って動いていただけだと思う。政治関係をはなれて天野学長を擁護していたのは、かつて彼の創立した「東洋経済新報」に立てこもる三浦鉄太郎、石橋湛山の一派だけで、石橋氏は純理論的立場において天野派の采配も振っていた。ついでだから断っておくが、私は当時、家兄の自殺とともに郷里の家が没落し、石橋氏の世話で一種のアルバイト学生となって「東洋経済新報」に月給二十八円の社員として勤務していた。しかし、私たちの指導力の実体は、東洋経済でもなければ、政友会でもなく、その頃、京橋南鍋町に売文社を経営しながら、辛うじて命脈を保っていた堺利彦(枯川)であった。堺利彦の意見によると銅像問題や学長問題なぞはどうでもよく、唯騒擾の動きの中に、革命の縮図を示すというところに重要性があった。