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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页

青空文庫

すると、お祖父さんが、眼鏡をなくして、お困りになっていたでしょう。だから、僕、すぐにそれを思いついてやってみたんですよ」

お父さんは、この一太郎君の説明を、お聞きになって、たいへん感心なさいました。

「ああそうか、よくそこまで思いついたね、目を細めて自分のまつ毛を見ることは、誰にもできるが、それからだんだん考えを進めて、虫眼鏡や老眼鏡を工夫したのはえらい。学者の発見や、発明でも、みんなそうして、一つのことを次から次へと根気よく考え進めて行ってこそ、できあがるのだよ。

つまらないことでも、よく気をつけて考えてみること、その考えをほかのものにもあてはめていろいろやってみること、それが何より大切なのだ。

お前が工夫した、針の穴がどうして、眼鏡の代りになるかというようなことをしらべる学問を光学というのだが、お前が大きくなってむつかしいりくつがわかるようになったら、それがどういうわけか説明できるようになるだろう。今はそこまで考えなくてもいい、こういう発見をしただけでも大手柄なんだよ」

お父さんがあんまりおほめになるものですから、一太郎君はなんだか恥ずかしくなって顔を赤くしてしまいました。