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あさがおぞうし
朝顔草紙
山本 周五郎
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1938(昭和13)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,019 字 · 29 页
三
「へっへっへ」男は卑しく笑った。
「知っていたらどうするのだ、我々は鳥刺し組の者だぞ、お鷹の餌鳥刺しだぞ」「ここが何誰様のお屋敷であろうと、餌鳥刺しの我々に吠えつくような犬は、ぶった斬るのになんの遠慮があるものか、それともこの屋敷ではお鷹の餌鳥を刺させねえとでも云うのかね」「下手に騒ぐと後で咆面をかくぜ」
思い切った侮辱である。信太郎が我慢ならじと、「――無礼者」と叫んで踏み出す、とたんに小雪が、「あれ信太郎さま、いけませぬ」と広縁から叫んだ、「お鳥刺し衆にお逆い遊ばしてはなりませぬ」
「いや、いかになんでも無道な奴等ゆえ」「いえいえ、わたくしがお願い致します、どうぞとちを押えてお引下り下さいませ、どうぞお願い申します」
広縁から身を乗出すようにして、懸命に呼びかける様子が如何にも仔細ありげだった、信太郎は尚も吠え猛る犬を制しながら、胸をさすって退いた。
鳥刺し共は汚らしく唾を吐き「態あ見ろ」と云わんばかりに、庭木のあいだを散々に踏み荒らして廻った。
三
「あれは一体どうした事なのです」
鳥刺しの男たちが立去ってから、信太郎は不審で堪らなそうに訊いた。小雪は蒼白めた顔に弱々しい微笑をうかべながら、